住野よるのベストセラー小説「君の膵臓をたべたい」の実写映画。
略してキミスイ。
物騒なタイトルですが、みずみずしくて爽やかな映画です。
君の膵臓をたべたい
ヒロインの桜良は余命数年なのに、いつも笑顔で前向き。
桜良が余命数年という運命を受け入れたあとの話なので、あまり暗い感じはありません。
病気ではなく、春樹との関係性や残された時間をどう生きるかがメインのストーリーなので、希望に満ち溢れている雰囲気すらあります。
桜良が余命数年の現実を受け入れていく過程も見てみたかったかも。
人が死んじゃう場面はもれなく泣くのですが、『君の膵臓をたべたい』の場合は桜良が亡くなったあとにじわじわと涙が出てきました。
『君の膵臓をたべたい』主要人物とキャスト
志賀春樹(北村匠海/小栗旬)
主人公の高校生(過去)。高校教師(現在)。
読書が好き。
他人と関わろうとせず、学校では1人で過ごすことが多い。
偶然、桜良が膵臓の病気を患っていることを知る。
典型的な根暗男子。
北村匠海の12年後が小栗旬、違和感なかったです。
山内桜良(浜辺美波)
クラスの人気者のヒロイン。
明るく天真爛漫な性格。
膵臓の病気を患っている。
春樹に病気のことを知られてしまい、一緒に過ごす時間が増えていく。
浜辺美波がどこまでも明るく前向きなヒロインとマッチしていました。
滝本恭子(大友花恋/北川景子)
桜良の親友。
もともと友だちがいなかったが、桜良と親友になって心が救われた。
春樹と桜良が仲良くなることを快く思っておらず、春樹を敵視する。
こういう女子、いるいる。
『君の膵臓をたべたい』あらすじ(ネタバレなし)
現在
母校の高校で教師をしている志賀春樹は、図書館の蔵書の整理をすることになる。
その作業中、春樹は図書委員の生徒に自分の高校時代のエピソードを語る。
高校時代
春樹は病院で「共病文庫」という1冊の文庫本を拾う。
それはクラスメイトである山内桜良の秘密の闘病日記で、桜良が膵臓の病気で余命数年ということが書かれていた。
「共病文庫」の中身を読んだ春樹は、身内以外で唯一桜良の病気を知る人物となる。
それから春樹は、桜良の「死ぬ前にやりたいこと」に半ば無理矢理付き合わされるようになる。
春樹と桜良はケーキバイキングに行ったり福岡へ1泊旅行へ出かけたりして、少しずつ距離を縮めていった。
そんなある日、桜良は検査入院することになる――。
再び現在
桜良の死から12年後、滝本恭子は結婚を目前に控えていた。
春樹が図書館の整理中に見つけたある手がかりをきっかけに、桜良が伝えたかった本当の想いが明かされる――。
『君の膵臓をたべたい』感想(ネタバレあり)
「世界の中心で、愛をさけぶ」に似てるけど、ラブストーリーじゃない
『君の膵臓をたべたい』を見る前は、というより見ている途中までは、よくあるラブストーリーだと思ってました。
高校生の男女が紆余曲折あって恋人同士になって、彼女が重い病気になって、倒れてしまって、空港で「助けてください」って叫ぶやつ。
そう、「世界の中心で、愛をさけぶ」。
セカチュー世代なので。
ヒロインが重い病気になる等セカチューとの共通点は多々ありますが、決定的に違うのは、キミスイは主人公とヒロインが恋人同士ではないこと。
デートしたり旅行したり、恋人のような関係ではありますが、「好き」だの「愛してる」だの甘い言葉は一切囁きません。
もちろん、春樹と桜良は両想いだったはず。
でもそれは恋愛感情だけじゃなくて、”君の膵臓をたべたい”くらい、お互いに憧れていたんだろうね。
恋人でも友達でもない、もっと特別な存在として2人を描いたからこそ、二番煎じの恋愛物語にならずに深みが増したんだと思います。
満開の桜
この映画には、満開の桜のシーンがたくさん出てきます。
この満開の桜が、春樹と桜良の人生とリンクしている気がしてとても印象的でした。
春樹と桜良は、人生の中で特別な存在に出会えた幸せな瞬間を満開の桜と共に迎えます。
そして桜が完全に散ってしまった後、桜良は命を落とします。
12年後、春樹は桜の季節に桜良の残した想いに辿り着く、と。
桜、いい仕事しますね。
1日の価値はみんな同じ
「私も君も、1日の価値は一緒だよ」
桜良のこの言葉にハッとしました。
健康な人も病気の人も、明日突然死ぬかもしれないのは同じ。
余命宣告された人だけが死に近いわけじゃない。
だからみんな1日の価値は一緒だから、毎日を精一杯生きなければ。
でもそんなことを語った桜良は、膵臓の病気ではなく通り魔に命を奪われてしまいます。
余命宣告された人でもその余命を全うするとは限らない(=残された時間は絶対ではない)という、わかっているけど忘れがちなことを改めて教えてくれました。
『君の膵臓をたべたい』主題歌「himawari」Mr.Children
映画のラストで目がうるうるしてるところに、ミスチル桜井さんの切ない歌声がトドメを刺します。
春樹と桜良のことを歌っているような歌詞で、思わず聞き入ってしまいました。
特に歌詞のこの部分。
想い出の角砂糖を
作詞作曲:Kazutoshi Sakurai 「himawari」
涙が溶かしちゃわぬように
僕の命と共に尽きるように
ちょっとずつ舐めて生きるから
あぁ、春樹は桜良が残してくれた言葉を糧にして、これから前を向いて生きていくんだなって、なんだかホッとしました。
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